株式会社オカムラ (7994) が高配当株投資対象として適格かをレビューします。
私の中では投資適格株であり、2250円未満の際に1株ずつ購入することにしました。
企業分析の方針は十人十色ですが、私の方針については以下の記事でまとめています。株式投資が本業でない社会人でも現実的な時間で分析する方法なので、本記事と併せてご拝読ください。
なお、この記事は参考程度にしていただき、投資は自己責任でお願いします。
私も日々勉強していますが分析方針が万全とは限りません。より良い分析アイディアなどありましたら、X (旧 Twitter) で議論できますと幸いです。
※ 本記事は企業分析ツールの画像を多用しており、可能な限り大画面での閲覧をお勧めします。
会社概要
株式会社オカムラ (7994) はオフィス機器・製造加工業界の会社です。本社は神奈川県横浜市。
オフィス環境事業、商環境事業、物流システム事業、パワートレーン事業という4つの柱があり、オフィス環境事業が主な利益・売上を占めています。
終戦の 1945年に航空機の技術者たちが資金、技術、労働力を提供しあって設立。現在は以下のようなミッションをもとに経営をしている。
個人の感想
敗戦後に技術者たちが資金、技術、労働力を出し合って設立するという歴史は熱いです。
また、「確かな品質」「社会への貢献など」日本のモノづくり企業らしいプライドを感じるミッションには共感をします。社会課題を意識しながら設計・開発をすることでしっかりと売上・営業利益率を上げている点は経営面も堅実で安心感があります。
私は在宅勤務でオカムラのシルフィーを活用していますが、座り心地も良く体重をかけるとリクライニングしてくれる仕様も快適です。ユーザーとしても確かな品質に満足していますし、応援しています。
なお、株主優待制度はありませんが、配当性向を高めてくれているのでいいかなと思います。
3 つの必須条件
上から配当金、EPS (1株あたり利益)、BPS (1株あたり資産) が全て上昇傾向にあり詳細調査をする価値があると判断。
配当金が上昇傾向か
配当金は 2010年以降は一貫して増配。
利益が上昇傾向か
1株あたり利益も上昇傾向で直近は過去最高の 214円/株。
資産が上昇傾向か
1株あたり資産も2011年以降は一貫して上昇傾向で直近は過去最高の1821円/株。
6 つの望ましい条件
営業キャッシュフローに不満はあるが、売上・純利益はしっかり上昇傾向なのでまぁOK。
また、資産に対する負債の割合が競合他社のコクヨさんに比べて高いのも少し気になる。
それ以外の4つの条件は満たしており、総合的に考えて自分の中では高配当株として投資適格。
2つの条件に半分目を瞑ったことが将来嫌な結果として帰ってこないことを願う。
本業で稼いでいるか
上から営業キャッシュフローと営業利益率。
営業活動のキャッシュフローは波があるので少し不安だが、きちんと本業で稼いでいる。
ただし、売上高や営業利益は右肩上がりなのでまぁOK。
また、中期経営計画2025 の目標値を上方修正するなど良いニュースもある。
中期経営計画の中で各セグメントごとに世の中の動き (課題) と自社の強みをマッチさせる戦略を立てていることは好感が持てます。
稼ぎ方が上手いか
営業利益率は上昇傾向で、過去最高の 8.06 % を達成。中期経営計画 2025 の目標を達成しており心強い。
競合他社コクヨさんの 7.25% よりもリードしているのも好感が持てる。
負債が多すぎないか
資産に対する負債の割合は 41%で、競合他社のコクヨの 29.29% に比べるとやや割高。
ただし、2020年の 44.82% から順調に減らしているので改善傾向。要経過観察だが、まぁOK。
個人的にはもう少し簿記などを勉強して一般的に大丈夫なのかを把握したい。
配当を出すときに無理をしていないか
現在の配当性向は40.14% と無理をしている範囲ではない。
また、戦略投資枠の 500億円と維持更新投資の200億円を計上した上での設定なので、事業と株主還元のバランスが取れていのにも好感が持てる。
株主還元を大事にするか
中期経営計画や IR ページに株主還元用の項目を用意し、株主還元を大事にしていることがわかる。
- 配当性向を 「40% 以上」とし、業績連動型。「以上」というのが肝な気がしていて、おそらく減配しないために幅を持たせている。
- 自己株式の取得も検討しており、好感が持てる。
不況でも配当金を減らさないか
2011年東日本大震災、2020年のコロナ禍などの危機的な状況でも配当金を減配していない。
2 つの買う条件 (トリガー条件)
上から株価、配当利回り、PER、PBR。
配当利回りが 4% 以上か
25年度3月期は中間45円、期末45円の合計 90円の配当金が支払われる予定。
そのため、2250円未満で購入すれば 4% 以上の (予想) 配当利回りとなる。
株価が価値に対して割安か
PER は 10.174。過去に比べると割安気味。
PBRは 1.20 と、過去に比べると割高気味。ただ、1.2 という数値自体が大きな値ではないので今回は許容する。
今後への期待
- 製造に加えて利益率の高そうなサービス (例: オフィス環境事業におけるコンサルティング) にも力を入れているため、次の中期経営計画では 10% 以上などの野心的な目標を期待したいです。
- 海外ビジネスが中国本土での記載が多かったので、北米やシンガポールなどの地政学リスクが小さな地域にシフトしてほしい。
- 中期経営計画や決算資料で海外売り上げ・地域ごとの売り上げ割合も見れるようにしてほしい。
まとめ
私の中では投資適格株であり、2250円未満の際に1株ずつ購入することにしました。
3つの必須条件は満たしており、6つの望ましい条件のうち2つは多少不安があるものの許容範囲。営業キャッシュフローと資産に対する負債の割合は継続的にチェックしていきたいです。
個人的には中期経営計画に記載があった市場の課題と自社の強みの照らし合わせ方が分かりやすく、また、理解しやすい商品群であったためIRページを読むのが楽しい企業でした。
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参考書籍
高配当株投資について更に知識を深めたいときには、以下の参考書籍を読んでみてください。
1つ目はこちら。高配当株投資を始めるきっかけとなった本です。
ド素人の頃から初めて毎月18.5 万円 (222万円/年) の配当金を得るまでの失敗談・試行錯誤や、高配当株の分析方法、永久に保有したい銘柄が分かる良い本です。
同じ筆者の2つ目の書籍です。1冊目よりも内容が濃く深いです。
そのため、1冊目を読んだ後に2冊目を読んだほうがスンナリ入ってくると思います。
上記2書籍を読み、自分で高配当株分析をする際に業界内の立ち位置や売上などを比較する際に便利です。