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投資勉強1冊目は「投資の大原則」がオススメ – 5つのポイントに絞ったシンプルな投資方針

投資の大原則の表紙 投資

投資を始める・継続する際に、自信を持って投資方針を決めるのは難しいですよね。方針を決めるために勉強したくとも、投資系動画・書籍が多く、質もバラバラなので良い情報に巡り会うのも難しいです。

私も5年以上の投資経験の中で多くの動画・30冊以上の本を読み、徐々に自分の方針を固め、利益も継続するようになりました。

そこでこの記事では、読破した書籍の中でも特に初学者にオススメの1冊を解説します。この記事を読むことで、自信を持って投資できるようになります

投資の大原則

なぜ初心者におすすめか

投資初心者の友人から「長期投資の勉強でオススメの本は?」と聞かれるたびに、投資の大原則を紹介しています。

理由は以下の通りです。

  • 貯金から初めて堅実な資産運用をする方法・背景・心理が書いてあるから。
  • 「ウォール街のランダム・ウォーカー」のバートン・マルキールと、「敗者のゲーム」のチャールズ・エリスという著名長期投資本の著者達の書いた書籍だから。
  • 上記2つの書籍からエッセンスを抽出した初心者にも読みやすい短い本だから。

5つのポイントに絞ったシンプルな方針

この本は「投資は単純明快に」として5つのポイントを軸に書かれています。

  1. 若いうちから貯蓄を始めて、定期的に続けること。
  2. 会社の福利厚生制度や国の退職に向けての制度を活用すること。あなたの蓄えを増やし、税制の優遇措置もある。
  3. 市場全体に投資するコストの低い「インデックス・ファンド」を資産タイプごとに選ぶことで分散を図る。
  4. 自分に合った資産配分を維持するために年1回見直す。
  5. 自分の決めた投資方針を守り、市場の値上がりや値下がりは気にかけない。一喜一憂して、売ったり買ったりすると経費もかかり、投資は失敗するだけだ。長期投資を心がけよう。
投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント 

長期的な資産形成のための非常に堅実な投資方針ですね。

なお、2つめの福利厚生/退職制度は米国のものを紹介していたので、ご自身の会社の福利厚生と確定拠出年金、 iDeCoやNISAを活用すると読み替えてください

何のために資産運用するのか?

投資を始める前に是非考えてみて欲しいことがあります。それは、何のために資産運用するかです。

この「投資の大原則」は、みなさんが貯めたお金を何倍かにして目標額に達するようにお手伝いをする道しるべだ。

投資の第一歩は、お金はいつ必要になるか、どのくらいの投資リスクなら我慢できるか、といった質問に、みなさん自信が答えることから始まる。

投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント

お金はいくらでも増やせてしまうので、資産運用は終わりのないマラソンになってしまいます。最初は良いのですが、数千万円単位になった後から虚しくなるので、目標があった方がやる気が継続します。

適当で良いので草案を作って、年1-2回くらい更新していくのを私はオススメします。

参考までに、私の場合は 1) 老後資金の準備と 2) 遊ぶお金を不労所得で作るの2つです。

すべてはお金を貯めることから

貯蓄を始めよう

この本の面白いところは、第1章が貯蓄・節約で始まるところです。浮つかずに本質を伝えてくれます。

誰にでもできる健全な投資手法をお教えしたい。しかし、投資をするお金がないことには、リターンが2%だの、5%だの、10%だのといっても始まらない。

まずお金を貯めることから始まる!

投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント

特に重要だなと感じたことは以下の点です。

  • 今の残高は大きな問題ではなく、貯蓄を始めることが大切
  • 支出を収入より少なくする。その瞬間あなたはお金持ちになっている。
  • ただし、将来と今の満足度のバランスをとること。節約が行きすぎてギスギスした生活をするのは避ける。

1、2は比較的簡単に始められるのですが、凝り性な人(私もそうです)は3番目に注意してください。高い目標を設定すると、あれもこれもと節約してしまい、今の生活がつまらなくなります。

貯蓄・節約計画を立てるときに、あえて遊ぶお金枠を作るとうまくいきますよ。例えば、遊ぶ金10%、貯蓄・投資25%、65%のようなイメージです。

複利で増やそう

著者は、ゆっくり確実にお金を貯める秘訣として、投資で得た利益を再投資し、複利を味方に付けることを勧めています。

100ドル投資をして、年10%のリターンがある場合、1年後には110ドルです。110ドルの10%は11ドルなので合計121ドル。10年繰り返すと260ドルとなり、複利の力で60ドル分多くの利益を得ています。

もちろん、敵に回すと怖いので、カードローンを避けるべきことにも言及しています。

インデックス投資をコアに

著者は株式(または債券)市場にある銘柄全体に分散投資できるインデックス・ファンドをオススメしています。例えば、米国主要500社の値動きに連動するS&P500インデックスファンドなどが有名です。

何故インデックスファンドなのでしょうか?

インデックス投資はシンプルで成績も良い

簡単な投資方法であるインデックス投資は、一般的に言えば、個々の株や債券に投資するアクティブ運用ファンドよりもリターンは高い。

投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント

これを裏付ける理由として、著者は主に以下の点を紹介しています。

  • 過去20年間に遡ると、インデックス・ファンドはアクティブ・ファンド(プロが銘柄選定して利益を狙う)の 73% よりも成績が良い
  • 2012年6月30日までの20年間、インデックス・ファンドはアクティブ・ファンドよりも 1.34% 高いリターンをあげている。

プロがインデックス(市場)に勝てない理由として、1) プロ自信が市場だから、2) 運用手数料と売買コストの分だけ費用がかかるからという点を指摘されていました。

コアは手数料の安いインデックス・ファンド(投資信託)で

筆者はインデックスファンド購入時に以下2点を指摘しています。

  • 手数料の安いものを購入する。
  • 広範囲のもの (S&P 500ではなく VTI のような数千社単位の分散)。何故なら、小型株は大型株中心のS&P500よりも過去80年間のリターンが高いから。

日本で購入できるもので言えば、SBI・V・全米株式インデックス・ファンドになります。購入・解約金額は0円で、運用手数料も0.0938%/年と格安です。

さて、「コア」と書いているのには理由があって、知的好奇心や好きな銘柄を持ちたいという気持ちが筆者達にもあるからなんです。彼らはそれを否定していません。

資産の核の部分、とくに退職資金は、株と債券のできるだけ広範囲なインデックス・ファンドに分散投資するといい。安定した老後のための資金をリスクの少ない方法で運用し、余った資金で「マーケット・ゲーム」を楽しめばいいだろう。

投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント

私もコア部分はインデックス投資しつつ、残った資金で高配当投資・株主優待目当ての投資を楽しんでいます。

銘柄と時間を分散して自分を守る

インデックス投資の優位性に加えて、筆者は分散投資の重要性も述べています。

勤務先の会社の株が資産の大半を占めている人は、注意してこのセクションを読んでください

自社株の割合を減らそう

どんなに大きな企業でも倒産することがあります。もし会社の株が自分の資産の多くを占めていると何が起きるのでしょうか?

株価は暴落し、すべての退職積立金は泡と消えた。彼女は失業しただけではなく、すべての貯蓄を失った。

自社株への投資は、収入源も貯蓄も勤務先に頼るという二重の意味でのリスクを集中させていたのだ。

彼女は投資の絶対的大原則の1つを守らなかった。分散投資、分散投資、分散投資。

投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント

個人的にこの項目は凄く刺さっています。なぜなら、私は勤務先企業の株だけで資産の8割以上を占めているからです。

分散が大事なのはわかるのですが、何を分散するのでしょうか?筆者は資産の種類・時間の分散を挙げています。

資産種類の分散

インデックス投資をすることで国や銘柄の分散は完了していますが、それに加えて資産種類の分散も考慮できます。具体的には、債券・不動産や石油などのコモディティです。

  • 債券投資: 不況時には株価は急落するが、金融当局が景気刺激策として政策金利を引き下げる。金利が下がると債券価格が上がるので、株価の下落を相殺できる
  • コモディティ投資: インフレ進行時には製造業の株式よりヘッジ効果がある。金はしばしば天変地異に備えるリスクヘッジ手段と言われている。

ただし、筆者たちが巻末で紹介する資産配分計画には株式・債券のみが含まれています。

私個人としても、コモディティは配当も低く、株式よりもリターンが低いため、あまり興味が湧かないです。株式・債券のインデックスファンドだけで十分な気がします。

時間を分散する

筆者はバブルを踏まえた時間分散にも言及しています。

例えば、市場がピークだった2000年代の初めに株式に全財産をつぎ込むと、その後10年間はマイナスのリターンを経験することになります

そこで、一定額を毎月定期的に投資するドル・コスト平均法をオススメしています。もちろん万能ではなく、暴落時には落ちてしまいますが、間違った時期に全財産を注ぎ込むリスクを減らすことは可能だからです。

日本の場合、毎月クレカ積立をすることで1%のポイント付与があるので、個人的にはドルコスト平均法での投資はメリットが大きいと思います。詳細はこちらの記事で。

リバランスする

分散投資をする上で、リバランスにも触れています。

リバランスというのは、自分の資産の配分比率を定期的にチェックすることだ。望ましいと思う資産配分から外れてるなら、元に戻すことだ。

リバランスをすると、投資資産のリスクを軽減し、多くの場合、リターンは増加する。

投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント

株式と債券の価格は概ね逆の動きをするので、株式・債券比率を決めてリバランスすると、割高の時に売り、割安のものを買えるという行動を自然と取れるので、リターンは増加するようです。

筆者のお薦めしている通り、資産配分を決めた上で年に1回程度のリバランスをしましょう

自社株を多くお持ちの方は自社株を売ってインデックス・ファンドを購入するというリバランスも検討してみてください

気分や雰囲気に振り回されない投資を

大きな失敗を避けるためのメンタリティについても1章まるまる説明しています。投資をして数年経った頃に見直すと沁みる内容です

気分投資はリターンを下げる

筆者によると、「どんなことがあろうとも持ち続けた場合には」株式市場の平均リターンは長期的には9.5%のリターンがあるそうです。

一方で、平均的な投資家は2%低いそうで、その理由は最高値で近いところで買い、最安値に近いところで売る傾向があるからだそうです。

その感覚はわかります。実際投資始めたての方を見ると、流行っているもの(高くなったもの)に飛びつく傾向が見られます。また、自分が購入した銘柄が数倍になると、万能感を感じてしまって無理な取引もしてしまうからです。

自分自身に合わせた計画を

筆者は 自分の経済状況 (資産、収入、蓄え)、年齢、精神的な強さ (価格変動時に耐えられるか)、投資に対する知識と興味に合わせて資産配分を計画すべきとしています。

私の経験上、投資を始める前には分からない感覚です。そのため、少額でも良いので初めて、以下のような点で自分を見つめることをお薦めします

  • 証券口座のお金が増えたら自分がどの程度調子に乗るのか。周りに自慢したり、お金遣いが荒くなったらリスキーな投資を始めてしまうサインです。
  • お金がいくら減ったら眠れなくなるのか。
  • 休暇中・仕事中にも気になって値動きを見てしまうか。

その上で、自分のメンタルが安定していれば株式の割合を増やし、不安定であればリスクが比較的少ない債券・現金比率を高めるなど調整してみましょう。

参考: 私の運用計画

私は以下のような運用をしています。

  • 収入の25%を貯蓄・投資に回す。
  • 株式95%、債券5%の資産配分。年齢・収入を考慮するとリスクが取れるため株式多め。
  • 60%はインデックス投資(老後資金)、30%は高配当投資(配当金で遊ぶ)、10%以下は株主優待目的の投資。
  • 日本円の収入は全世界株に対応した投資信託 – eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー)を積立
  • 米ドルの収入は全世界株に対応したETF – Vanguard Total World Stock (VT) を購入。

私は米国企業に勤務しているので、自社株だけで米国株比率が高いです。そのため、米国企業のインデックスファンドではなく、全世界株のインデック連動商品を購入しています。

まとめ

今回は名著「投資の大原則」について自分の視点も交えて解説しました。

著者オススメの5つのポイントを最初から全て実行するのは難しいので、貯蓄と少額からのインデックス投資をシンプルに始めてみてはいかがでしょうか。具体的な始め方は、この記事も参考にしてください。

また、著者の考え方を深く理解したい方は書籍を読み、繰り返し学ぶことをお薦めします

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