都内各所で見かけるタワーマンション。「一度は住んでみたい」と思っても、高いコストを払うほどの価値があるのか?と迷う方も多いのではないでしょうか。
私自身も住むまでは良い点・悪い点がわからず、賃貸や購入の判断に悩んでいました。
しかし、実際に品川区・港区のタワーマンションで6年ほど暮らす中で、共用設備の快適さや眺望といった魅力、そして直射日光による暑さや鉄道の騒音といった不快な点も肌で感じてきました。
本記事では、私自身がタワーマンションに住んで感じたメリット・デメリットを実体験ベースで紹介します。さらに、これから内見を検討する方に向けたチェックポイントもまとめました。
タワマン暮らしを検討している方が「自分に合うかどうか」を判断できるよう、ぜひ参考にしてください。
タワーマンション生活のメリットとは?
タワーマンションと聞くと「家賃や管理費が高くて大変そう」というイメージをもたれがちです。
イメージ通り費用は嵩みますが、実際に住んでみると、費用に見合った快適さや安心感を得られる部分が多く、「これなら住んでよかった」と思えるメリットもあります。
ここでは、住んで感じたメリットを具体的に整理します。
共用設備が便利で日常が快適に
タワーマンションの大きな魅力は、充実した共用設備です。ラウンジやゲストルーム、ジムに加えて、コンビニがある物件もあり、天気の悪い日は特に便利です。

一方で、すべての共用設備を長期的に使い続けるわけではありません。特にバーやカラオケルームのような「息抜き系の施設」は、最初は物珍しく使っていても、次第に利用頻度が減ります。同じバーに通っていると飽きてしまいますし、本格的なカクテルなどは提供できないためです。
もちろん「あること自体」は嬉しいのですが、結局は日常生活で使うのはジムやコンビニなど、実用性の高い施設に落ち着いていきます。
そのため、私は最近タワマンに引っ越す際には共用設備の優先度は下げるようにしています。
高層階の景色・気分の良さ
窓から見える景色は、まさにタワマン生活を象徴する要素です。
以前住んでいたマンションでは、晴れた日には富士山が見えることもあり、普段の暮らしの中で「非日常」を感じられるのは本当に大きな魅力でした。

ただし、あまりにも良い景色を日常的に見ていると、旅行先のホテルで夜景を見ても「あれ、いつもの景色と変わらないな」と思ってしまうことも。非日常が日常化してしまうのは、贅沢な悩みですが少し考えものだなと感じました。
生ゴミ・ゴミ捨ての手間が減る
タワーマンションにはディスポーザーが備え付けられていることが多く、流しで生ゴミを砕いてそのまま下水に流せます。そのため「ゴミ箱の中で生ゴミが腐って臭う」ことがありません。
さらに各フロアにゴミ置き場があり、24時間いつでも捨てられる仕組みなので、家事の負担は大幅に軽減。これは住んでみて特に「便利だ」と実感した部分です。
ただし、1Fにしかゴミ捨て場がないタワーマンションもあり、注意が必要です。エレベーターで高層階からゴミを 1Fのゴミ捨て場に持ち運ぶのはあまり快適ではないので。
内見の際に必ず各階にゴミ捨て場があるかを確認しましょう。
部屋の設備のグレードが高い
タワーマンションは建物全体だけでなく、各部屋の設備グレードも高い傾向があります。
気密性が高いため外気温の影響を受けにくく、冷暖房効率が良いのは大きなポイント。さらに、浴室やトイレも広めに設計されているケースが多く、毎日の生活が地味に快適になります。
ただし、最近の築浅マンションや分譲物件でも同様の設備水準が用意されていることも多いため、この理由だけでタワマンの費用に見合うかといえば少し疑問が残ります。
さらに、築年数の長いタワーマンションの場合設備が見劣りする場合もあるので、必ず内見しましょう。
虫がいない・治安の良さで安心できる生活
高層階では蚊やゴキブリが入ってくることはほとんどなく、虫嫌いな人には大きなメリット。
ただ、公園が近いと鳩がベランダに巣を作ろうとすることはあるので、鳩よけグッズの準備は必要です。
また、オートロックや防犯カメラのほか、共用ラウンジが広く快適に整備されており、子どもたちが一緒にゲームや勉強をして過ごしている光景もよく見かけます。
治安の良い環境の中で、子どもたちが安心して時間を過ごせるのは、親として大きな安心材料となるでしょう。
タワーマンション生活のデメリット
タワーマンションは確かに快適ですが、実際に住んでみると「ここはちょっとつらい」と感じる部分もあります。費用だけでなく、生活の細かいところで予想外の不便さを感じることも少なくありません。
ここでは、住んでわかったデメリットを整理します。
直射日光・夏の暑さと光熱費の負担
タワマンには遮蔽物がなく、景色が良いです。つまり、直射日光を遮るものがありません。
大きな窓から日差しが入るのは開放的ですが、真夏はどうしても室内が暑くなり、7-9月の午後は蒸し風呂状態です。常に冷房をかければ良いのですが、当然電気代はかさみます。私の場合 2LDKで 1.6万円/月ほどでした (2024年時点在住のオール電化タワマンの場合)。
特に在宅勤務をする人は「作業する部屋が日差しを受けにくい位置にあるか」を事前に確認するのがおすすめです。働く環境が快適でないと、毎日のストレスが積み重なります。
騒音など外部環境のストレス
高層階でも意外と周囲の音は響きます。特に鉄道や新幹線の低周波音、近くを飛ぶ飛行機の音は長時間的にはストレスになります。
私が住んでいた物件 (31F) でも、窓を閉めていても近くの山手線・京浜東北線・新幹線の音が響くことがありました。特に山手線は頻度が高いので、なかなかに辛かったです。購入ではなく賃貸で心底良かった。
タワマン選びの際は「周囲に鉄道や高速道路がないか」を確認するのがおすすめです
携帯電波が届きにくく不便

Wi-Fiは安定しているのでリモートワークには困りませんが、高層階は携帯の電波が弱いです。電波が弱いと日常生活で「たまに」不便が出ます。
例えばレストラン予約や外部からの電話が聞き取りづらく、結局 2F ラウンジまで降りて通話することもありました。救急車を呼ぶような緊急時はどうするのかと不安です。
内見時には必ず、自分のキャリアの電波がどれくらい入るか確認しましょう。
引越し・初期費用が予想以上に大きい
タワーマンションは引越しの際に養生(共用部を保護するためのシート設置など)が必須で、業者にとって手間がかかるため、料金が高めに設定されます。
実際、値下げ交渉もほとんど通らず「タワマンならこの価格です」と提示されることが多いです。
さらに、礼金・保証金が高めに設定されるケースもあり、人気物件ではそれでも入居希望者が集まるため、家主側に有利な契約条件が付くこともあります。例えば、退去時のクリーニング費用を事前に固定額で取られる特約などです。
家賃25万円・敷金礼金2か月ずつなら、それだけで初期費用は100万円以上。仲介手数料を含めると、入居時の負担はかなり大きくなります。
地震の揺れと停電時の不便さ
タワーマンションは耐震性が高い設計で、地震が起きると上層階は大きく揺れます。建物自体に被害は出なくても、揺れによる恐怖感は強いです。
さらに深刻なのは地震の後の停電時。エレベーターが止まり、階段で昇り降りする必要があります。私は夏に飲み会の後に30階以上階段を登った経験があり本当に過酷でした。諦めて深夜にラウンジでエレベーターの復旧を待つ人もいるくらいです。
災害が長引き、水や食料を持って上り下りする必要がある場合、かなり大変でしょう。日常では快適でも、非常時には大きなリスクがあると頭の片隅に置いておいてください。
また、日頃から階段の場所をチェックしたり非常用の水・食料の確保はしておきましょう。
タワーマンション暮らしで我慢できるけど気をつけたいポイント
タワーマンション生活は快適な部分が多いものの、細かい不便さも存在します。ただし「慣れれば受け入れられるレベル」であることも多く、最初から理解しておけば大きなストレスにならないでしょう。
エレベーター混雑・待ち時間はそれほどでもない
タワーマンションのデメリットとして「エレベーターの待ち時間が長い」とよく言われますが、実際に住んでみるとそこまで極端ではありません。
私の経験では、ピーク時でも大体1分も待てば来るので、日常生活で大きなストレスになることはほとんどありませんでした。
ただし、この快適さは物件の設計によって変わります。内見の際には以下の点をチェックしましょう。
- エレベーターの台数が十分にあるか
- その台数が住戸数に対して妥当かどうか
- 高層階用・低層階用で分けるなど、混雑を分散させる工夫があるか
- 各階にゴミ捨て場があるか(ない場合は、ゴミ出しなどでエレベーター利用が増え混雑の原因になる)
このあたりを事前に確認しておくと、「思った以上に混雑して困った」という後悔を防げます。
宅配受取・来客時の手間
タワーマンションでは、多くの住戸にまとめて宅配が届くため、インターフォンで業者さんとやり取りをしてから荷物が届くまでに5〜15分ほど待ちます。
トイレなどでタイミングが悪いと少し不便ですが、基本的には家で待っていればいいので、許容できる範囲の手間と言えます。
宅配受け取り・来客の場合は、セキュリティの関係でオートロックを2段階通過する必要があり、そのたびにインターフォンに応答する必要があります。
確かにひと手間ではありますが、実際には数回ボタンを押す程度なので、大きな負担ではありません。セキュリティがしっかりしている安心感と引き換えと考えれば、十分納得できます。
タワーマンション入居前に確認したいライフラインの制約
タワーマンションは快適な暮らしを支えてくれますが、契約できるライフラインには制約があります。こうした点は住み始めてから変更できないことが多いため、内見時にしっかり確認しましょう。
インターネット回線・通信環境の制約
タワーマンションでは、インターネット回線が建物全体で一括契約されていることが多く、自分でプロバイダーを選べない場合があります。動画を大量にアップロードしたいなど特殊なニーズがある人にとっては不便に感じることもあるでしょう。
ただし、基本的には安定した光回線が導入されているケースが多く、私自身もリモートワークで困ったことはありません。念の為、管理組合が5−10年ごとに最新の回線に入れ替えているかは内見時に確認しましょう。
オール電化か?ガスが使えるのか?事前に確認を
タワーマンションはオール電化のケースが多いですが、中にはガスが使える物件もあります。内見時に「オール電化なのか、それともガスも併用できるのか」を確認しておきましょう。
オール電化は火災リスクが低いなどのメリットがありますが、お湯を沸かすのに時間がかかるため、子どもが多い家庭やお湯をよく使う家庭にとっては不便になることも。一方で、ガスならすぐにお湯が出るので、個人的にはガス付き住宅を選びたいです。
また、オール電化の場合は電気料金プランが固定になっているケースがあり、自分で電力会社や料金プランを選べないことも。それによって想定外に高額になることはないですが、併せて確認しておきましょう。
タワーマンションで実際にかかった光熱費を2例紹介
ここまでオール電化とガス併用の特徴について触れてきましたが、実際にかかった光熱費も参考として紹介します。
現在のタワーマンション(電気+ガス併用:2LDK・2人暮らし)
我が家(2LDK・2人暮らし)では、光熱費は合計で14,000円前後で推移しています。実際には電気が大部分を占めており、ガスはごくわずかです。

まずは、電気+ガスの合計額のグラフです。月平均14,000 – 16,000円前後で推移しています。

次に、電気料金のみのグラフです。8,000円 – 14,000円で推移しています。在宅勤務が多いので、冷暖房を使う夏冬の電気代が嵩みがちです。

最後にガス代のみのグラフです。ガス代は 2,000円 – 6,000円前後と電気に比べると割安。
普段は6,000円前後ですが、今年の夏は暑くて湯船を張らなかったことに加えて 7-8月は政府の支援でエネルギー料金が抑えられていたので、2,000円程度になっています。
以前のタワーマンション(オール電化:2LDK・1人暮らし)
以前住んでいたオール電化のタワーマンション(2LDK・1人暮らし)では、電気代だけで 6,000円- 12,000円前後かかっていました。引っ越し前は平均 4,000円程度安かったことになります。

単身でもこれだけの金額になるのは、給湯・冷暖房など生活インフラをすべて電気に頼っていたためです。
※ 8月はちょうど引っ越しのタイミングで日割り請求となり、数値が低く見えています
タワーマンションに「階層カースト」はあるのか?
ネットでよく言われるのが「上層階ほどカーストが高い」という都市伝説です。
しかし実際に住んでみると、住人同士で階数を気にする機会はほとんどありません(エレベータでボタンを押すときはわかりますが)。そもそも隣人と会話することすら少なく、階数で人を見て比べるような文化は感じませんでした。
むしろ私自身は、「高層階だから偉い」というよりも、共用設備に近いフロアの住人は賢いなと思います。ジムやラウンジ、コンビニにすぐアクセスできるからです。
また、低層階であれば階段を使ってサクッと外に出られるので、実用的なメリットはむしろ低層階にもあると感じました。
そういった都市伝説を気にするよりも自分のライフスタイルに合う住戸位置を選ぶ方が、ずっと満足度が高いはずです。階数は気にせずに自分がタワーマンションから享受したいメリット (景色、共用設備など) を考えて気楽に選びましょう。
まとめ:タワーマンション暮らしの本音と内見のポイント
タワーマンションは、便利で快適な暮らしを提供してくれる一方で、費用や制約といった注意点もある住まいです。
共用設備や眺望といった魅力は大きいですが、デメリットや制約も考慮して、必ず内見を行い、コストに見合う納得感を持って住むようにしましょう。
今後も自分は住みたいと思うか?
私は実際に暮らしてみて、総合的に満足しており、今後もタワーマンションに住み続けたいと思っています。
特に気に入っているのは:
- ディスポーザーや24時間ゴミ捨ての快適さ
- 高層階からの眺望による「日常が非日常になる」体験
- 子どもが安心して過ごせるセキュリティの高さ
- 共用ラウンジやジム、コンビニなど、日常を便利にする設備
ただし、住戸の広さはネックになりやすいと感じています。子どもが増えた場合には、より広いマンションへ移る可能性はあると思います。
内見の際に気を付けてみるポイント
実際に住んでみて、「ここは内見で確認しておくべき」と感じたのは以下の点です。住んだ後に後悔しないように内見時に活用してください。
- エレベーターの台数と住戸数のバランス
- ゴミ捨て場が各階にあるかどうか
- (築年数が古い場合) 設備・室内の痛みや古さは許容できるか
- 自分のスマホの電波状況(通話ができるか?)
- 周囲に鉄道や高速道路などが無いか (有ると騒音問題あり)
- 管理組合が5−10年ごとに最新のインターネット回線に入れ替えているか
- オール電化かガス併用か (ガスの方がお湯がすぐ沸かせる)
- 共用設備の場所(頻繁に使用したいなら近くの階がオススメ)
- 真夏の昼間(12〜14時頃)に内見して、室温が上がりすぎないかどうか
- (在宅勤務の場合) 作業する部屋が日差しを受けにくい位置にあるか
特に人気エリアのタワーマンションは募集が出てもすぐに埋まってしまうので、気になったらまずはWebから内見予約をしておくのがおすすめです。
私も利用した アパマンショップ は全国に店舗があり、内見や鍵の受け渡しがスムーズなので安心できます。
